個人が会社を立ち上げるときは、社会人として経験を積んでから独立起業するケースがほとんどですが、中には学生のうちに起業して成功を収めている人もいます。
とはいえ、前知識もなしに起業をしても成功するとは限りません。
こちらでは、大学生で起業する場合のメリットとデメリット、学生起業の成功例、失敗しないための対策について見ていきます。
学生起業のメリット
学生の内だからこそ、起業するメリットがあります。
以下に、学生起業でどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
小リスクで始められる
社会人になってからの起業は、生活のために一定の売上を確保しなければなりませんし、損失の額も大きくなりがちです。
しかし、学生は元々無収入なので、起業のために仕事や収入を失うというリスクがありません。
万が一事業に失敗しても、大学卒業後に新卒として企業に就職することもできますので、社会人よりも起業のリスクは低いと言えるでしょう。
失敗をしてもプラスにできる
事業を軌道に乗せられれば言うことはありませんが、万が一失敗をしてもダメージばかりが残るわけではありません。
例えば、就活で起業の経験やそれによって得たスキル、実績などをアピールできれば、社会人としての経験がない学生よりも注目されやすくなります。
また、社会人になって改めて事業を始めるときも、失敗した時の経験を教訓として活かすことができるでしょう。
社会人に比べて自由な時間が多い
起業には、準備や立ち上げの作業、軌道に乗るまでの対応などで時間を取られることが多いです。
社会人になると、働きながら起業の準備をしなければならないので時間が足りず、十分な準備ができない可能性もありますが、学生は比較的自由な時間が多いため、じっくりと準備して起業できます。
学生向けサービスに強い
学生が起業した場合、コストや社会的経験を考えると、広範囲にターゲットを広げた事業展開は困難です。
しかし、同年代のユーザー、特に同じ立場である学生にはアプローチがしやすい点はメリットと言えるでしょう。
例えば、大学の協力を得て構内で宣伝や販売、情報収集をしやすい立場です。
学園祭や学生向けのイベントなど、学生向けのサービスを提供する機会にも多く恵まれるでしょう。
学生起業のデメリット
一方で、学生起業ならではのデメリットもあります。
どのような問題があるのかを確認した上で、起業を検討しましょう。
学業との両立が困難
社会人よりは自由な時間があるとはいえ、学生の本分は勉強です。
試験前やレポートの提出時期、ゼミが忙しい時など、学業との両立が困難になることも少なくありません。
無理なく事業を続けるためには、大学のカリキュラムを考慮したスケジュール管理が必要不可欠です。
社会的信用の不足
事業として対価を得る以上、学生だからという甘えは許されません。
仕事を受注するためには、それなりの実績とスキル、責任が求められます。
しかし、学生は社会経験の不足や取得できる資格が少ないなどの事情から信頼を得にくく、クライアントがつく可能性は低くなりがちです。
友人との付き合いが減る
学生の内は、学業に加えてサークルへの参加や友人との付き合いなど、プライベートを充実させることも重要です。
ですが、起業するとなると学業以外の時間は大半がその準備や運営に使われてしまいますので、友人との付き合いに回せる時間が減ってしまうでしょう。
初期費用の用意が難しい
社会人が起業する場合、会社勤め時代の貯蓄や金融機関からの融資などでまとまった資金を用意します。
しかし、学生は学費や生活費を親に頼ったり、バイトで稼いだりしている状況ですし、社会的信用が乏しいので融資も受けられず、初期費用を用意することは簡単ではありません。
大学生が起業をするならやっておくべきこと
大学生ならではの強みもありますが、学生起業だからこそのデメリットもありますので、入念な準備が必要です。
以下に、学生起業に挑戦する前にやっておくべきことを見ていきましょう。
起業の目的をはっきりさせる
学生の内は、資金力や人手が足りないことから、広範囲に手を広げる事業にはなかなか着手できません。
そのため、短期間で準備ができて失敗した時のリスクも最低限に抑えられるように、目的を絞った事業展開をする必要があります。
まずは、起業して何をしたいのか、どのラインで成功と判断するのか、目的をはっきりさせましょう。
モチベーション・熱量の確認
起業する以上、全く費用や手間をかけずに事業を続けることはできません。
学業への負担も生じますし、プライベートな時間が減った時にはストレスを感じることもあるでしょう。
そのため、起業した場合にどのようなリスクが発生し、どんな生活になるのかを明確にシミュレーションした上で、それでも続けたいと思うほどのモチベーションがあるのか、今一度確認する必要があります。
0円起業の模索
学生起業では、確保が難しいのは時間よりも資金です。
人手に関しては、仲間を募って共同経営をするという方法もありますし、時間のやりくりも融通をきかせられるでしょう。
しかし、資金の問題は学生にとって解決が容易ではありませんので、元手なしで事業を始める0円起業を検討するのも一つの方法です。
学生起業を成功させた実例
学生起業の中には、大成功を収めて成人後も本業として継続したり、運営を継続しているところもあります。
以下に、実例を見ていきましょう。
タダコピ
企業の広告をコピー用紙の裏に印刷し、その用紙を使うことでコピー代を無料にするサービスを学生に提供しています。
企業が広告費をタダコピに支払い、タダコピはその広告費で事業の運営にかかる費用やコピー代を負担するシステムです。
2006年にタダコピのサービスを開始した株式会社オーシャナイズの系列グループが現在も運営を続けており、150以上の大学で利用されています。
すごい時間割
こちらは2011年に株式会社Labitからリリースされた、大学生向けの時間割共有サービスです。
アプリ開発を行う学生は少なくありませんが、すごい時間割は学生向けの便利なアプリとして短期間に広まり、2021年には65万人以上のユーザーから利用されています。
Progate(プロゲート)
こちらは学生の視点から、分かりやすく始めやすいサービスを念頭に開発された、プログラミング初心者向けの学習プラットフォームです。
学習前の環境構築が不要なのですぐに始められますし、学習を始めてつまずきやすい部分も丁寧なスライドを使った解説でわかりやすく工夫されています。
2014年にProgateとして起業し、創業から4年で60万人以上のユーザーを獲得しています。
学生起業でありがちな失敗と対策のコツ
学生起業は小規模で始めやすい一方で、陥りがちな失敗もいくつかあります。
以下に、学生起業でよくある失敗例と対策を見ていきましょう。
モチベーションが続かない
社会経験が皆無に等しい学生にとって、起業や事業の継続は分からないことばかりです。
加えて、学業との両立、プライベートを満喫している友人を見ながらビジネスに追われる毎日、資金繰りや顧客対応の問題など、負担も大きくなります。
そのため、最初は張り切って始めた事業も、やがてモチベーションが続かなくなるケースが多々見られます。
【対策方法】
学生起業はワンオペになりがちですが、作業負担が多く、悩みや問題を相談できない環境ではモチベーションの維持が困難です。
同じ志を持つ仲間や協力し合える友人と、共同で作業をすると良いでしょう。
また、細かい目標を決めてそこへ向けて努力するなど、スケジュール管理の工夫も大切です。
理想と現実のギャップにぶつかる
社会人として働いたことがない学生にとって、起業を具体的にイメージすることは容易でありません。
予想以上にコストがかかった、制約が多すぎて思うように準備が進まない、仕事が受注できないなど、成功や楽しい作業ばかりを思い浮かべていた理想と現実のギャップに心が折れる人もいます。
【対策方法】
たとえ経験がない学生でも、ネットやセミナーなどで起業についての情報収集をすることは可能です。
起業をする際は目的や事業内容、そのために必要なスキルなどを把握して、念入りにシミュレーションを行いましょう。
資金繰りの見通しが甘い
仕入れの必要がない事業でも、起業するときには予想外の支出が発生することは珍しくありません。
資金繰りの見通しが甘いため、借金を繰り返したり活用できなかったりで、事業に失敗する学生起業家も存在します。
【対策方法】
学生起業は小規模な内容でスタートすることが多いため、安価で便利なサービスを活用するのがおすすめです。
例えば、無料または格安プランのクラウドソーシングや仕事マッチングサイトなどを利用すれば、大掛かりな宣伝をする必要もありません。
また、最もコストがかかりやすいオフィスに関しては、バーチャルオフィスを利用するのが良いでしょう。
NAWABARIは東京都目黒区の住所を月額980円からという業界最安値水準で借りることができ、郵便物の写真確認や法人登記などにも対応しています。

BASEなどのプラットフォームにもサービス提供をしているため、EC事業者や企業からも高く評価されています。
学生起業はリスクを怖がりすぎないで!
学生起業は伝手や経験、資金がない状態からのスタートとなるため、不安に感じる人がほとんどです。
しかし、コストを抑えながら集客力を高める工夫をすることで、実際に成功した例も多々あります。
学生の内は若さと時間という資産がありますので、バーチャルオフィスなどの便利なサービスを活用しながら、積極的に挑戦しましょう。