「働きながら副業する方法が知りたい」
「会社にバレないように法人化するコツは?」
このような疑問をお持ちのサラリーマンは多いでしょう。
副業の法人化は、節税できる可能性があります。しかし、余分な手間や費用がかかる場合もあるため、きちんと比較検討しましょう。
この記事では、働きながら会社にバレずに法人化したい会社員に向けて、法人化のメリット・デメリットやタイミングについて詳しく解説しています。
節税をしたいと考えているサラリーマンは、ぜひ本記事を参考にしてください。
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一人会社とは?
一人会社とは、その名の通り、社長が1人で運営している会社のことです。
実は、会社組織としては他の社員がいなくても成り立ちます。
一人会社の形態は、2006年の新会社法施行により会社設立が容易になったため、メジャーになりました。
一人会社が向いている起業家の特徴は、以下の通りです。
- 少ない人数でも効率よく経営したい
- 迅速な意思決定を行いたい
一人会社は、他の役員や社員を必要とせず小規模な会社運営ができ、法人設立によって税金対策ができる可能性があるため注目を集めています。
副業を法人化するメリット7選
次に、副業を法人化する3つのメリットを解説します。
近年、副業を法人化したいと考える会社員は増えています。副業の法人化を考えているサラリーマンは、ぜひ参考にしてください。
節税できる場合がある
副業による所得が一定以上の金額に達した場合は、法人化をした方が資金を残せる可能性があります。
日本の税制では、所得税率が年収が増えるにつれて上がる「累進課税制度」が個人事業主に適用されます。
一方、法人税は一定の利益額まで比較的低い税率です。
副業からの収入が増え、累進課税制度による税の負担が大きくなった場合は、法人化によって税の負担を軽減できる可能性があります。
金融機関・取引先など、社会的信用が向上する
副業を法人化した場合は、金融機関や取引先からの社会的信用が得られるのもメリットです。
法人というフレームは、認知度と信頼性をもたらします。
金融機関や取引先は法人に対して、個人事業主より信頼を置く傾向があります。
法人には、法律に基づく記録や報告の義務があり、その透明性が信用度を高めるためです。
また、法人は融資を受けやすいのが特徴です。
法人設立は、社会的にも「本気度」が伝わります。そのため、副業の事業を拡大したい場合は、早い段階で法人化するのがおすすめです。
個人資産が守られる
副業を法人化することによって、社長の個人資産が守られることもメリットです。
株式会社と合同会社には、有限責任が採用されています。
有限責任とは、会社の負債やリスクは法人としての責任に限定される法律です。
そのため、もし会社が不祥事を起こした場合でも、有限責任によって社長の個人資産が守られることを意味します。
ただし、悪意を持った過失は損害賠償責任を負う可能性もあるので注意しましょう。
資金調達の幅が広がる
個人事業主は従業員を雇わないことが多いことから、廃業へのハードルは法人よりも低めです。事業の将来性が不透明であるため、金融機関の融資を得られないことも考えられます。
一方で、さまざまな責任が生じる法人は、将来性への信頼度が高く、銀行の融資を得やすいとされています。
また法人化して株式を発行すれば、株式市場を通じて資金の調達ができます。大規模なプロジェクトの展開や大きな事業を実現したい場合に、資金調達の方法の選択肢が豊富であることは、大きなメリットです。
消費税が2年間免除される
個人事業主も法人も、消費税の免除期間を2年間設けられています。
個人事業主として2年間、法人として2年間の免除を受けることで、計4年間は消費税の支払いを回避できます。消費税の支払い義務がなくなれば、運営初期の資金繰りもしやすくなるでしょう。
決算月を変えて繫忙期を分散できる
個人事業主の場合は、3月までに確定申告を行う義務が設けられていますが、法人の場合は決算月を自由に設定できます。
たとえば、繁忙期が年末に集中している場合は、決算月を9月や6月などに設定することが可能です。事業と決算事務それぞれの負担が分散すれば、より効率的な事業運営が実現します。
責任範囲が有限になる
個人事業主の場合、事業に関する全ての責任を個人で負わなければなりません。そのため事業で発生した負債は、全て個人の資産で返済することが求められます。
法人化することで、会社と個人の責任は分けられます。事業で負債が生じても法人自体が責任を負うため、個人の資産に影響が及ぶことはありません。
副業を法人化するデメリット6選
本章では、副業の法人化によるデメリットを解説します。
副業の法人化をするには、時間や予算を割かなければならないデメリットがあります。また、節税対策により、逆に費用がかかってしまう場合もあるので注意しましょう。
会社設立の費用がかかる
法人を立ち上げるには、初期費用がかかることがデメリットとして挙げられます。
株式会社を設立するには、手続きに実費だけでも20万円以上かかり、副業の収益がある程度ないと逆に費用がかかってしまう場合もあります。
節税のために会社を設立したのに、結果的に初期費用の影響で損をしてしまったら本末転倒なので注意しましょう。
決算処理に手間がかかる
法人化は、税金の申告や納付等に手間がかかります。
会社設立をする際には、各方面に書類を提出する必要があります。
特に、確定申告は個人の申請と比べ、申告先が複数に渡るため工数がかかることを覚えておきましょう。
そのため、法人化のプロである税理士に依頼するのも有効です。
お金の自由度が減る
法人化をすると、プライベートで使えるお金が制限されてしまいます。
個人事業は、お金の使い方は自由で書類の申告等もする必要がありませんでした。
しかし、法人化をしてしまうと副業で得た収入は会社のお金となってしまうため、個人の資産として自由に使えません。
赤字でも税金を支払わなければならない
法人化すると、たとえ会社が赤字でも一定の税金を支払わなければなりません。この税金のことを「均等割り」といいます。
均等割とは、会社の規模や利益に関係なく、法人である限り必ず支払わなければならない税金です。金額は会社の規模や所在地によって異なりますが、通常は数万円から数十万円程です。
会社にばれる可能性もある
副業の法人化によって、勤め先にばれてしまうリスクは無視できません。
特に、法人登記を行うと会社名は公的な記録として残ります。
また、会社の規模が大きくなり取引や社外活動を行えば、副業が目立ってしまう可能性や、設立した法人の規模が大きくなると、SNSによって伝わってしまうケースも多くあります。
そのため、勤務先の副業に関する方針を確認し、あらかじめ開示しておくことやSNSは誰でも閲覧可能であることを忘れないでおきましょう。
今後意識したい副業300万円問題がある
副業300万円問題も、これから懸念すべき点です。
これまで、副業での収益は事業所得か雑所得かの明確な基準が存在していませんでした。
しかし、2022年10月に国税庁による通達により、副業の収益が300万円を超えると、本業と副業の収益が合算され、総合課税になる可能性が出てきました。
これにより、高額な課税を受ける場合もあります。
また、請求書や領収書などの書類は5年以上の保存が義務化されたため、収益の管理に細心の注意を払わなければなりません。
法人化はいつすればいい? 副業を法人化する4つのタイミング
本章では、副業を法人化するおすすめのタイミングをサラリーマンに向けて解説します。
法人化は、いつでもすれば良いわけではありません。法人化すべきタイミングについて見ていきましょう。
1.税務上有利になるタイミング
副業の法人化によって、税務上有利になるタイミングはいくつかあります。
特に、課税売上高が1,000万円を超える場合や、副業の利益が500万円を超える場合は、法人化を進めることで消費税の納税義務が免除されます。
2.勤め先の副業に対する方針が明らかになったタイミング
会社の副業に対する方針がわかったときは、法人化する機会になります。
もし、勤め先が副業を容認してくれることが明確になった場合は、会社に隠すことなく副業を行えるため、思い切って法人化しても問題ないでしょう。
3.家族が社長になってくれるタイミング
家族が社長になってくれる場合も法人化するタイミングです。
家族が代表取締役になれば、自分の名前を世間に晒すことはないためです。
たとえば、家族の誰かが離職して代わりに社長を請け負ってくれるタイミングも有効と言えるでしょう。
家族が社長になってくれた場合は、自分が副業をやっていることを会社にバレる心配が軽減されます。
4.個人事業で消費税の納税義務が発生するタイミング
個人事業で消費税の納税義務が発生する場合は、法人化がおすすめです。
法人化で初期費用がかかってしまいますが、それを超える消費税がかかるとわかったタイミングで法人化するのも有効手段です。
ある程度副業の収入が安定し、利益が見込めたら法人化すると良いでしょう。
副業の法人化が会社にバレる4つのケース
会社によっては、副業を規則で禁止しているところもあります。
副業を隠して会社に勤めている方は、次の4つの「会社にバレるよくあるケース」を防ぐための施策が必要です。
SNSや噂話によってバレる
副業がバレてしまう理由の1つが、SNSや噂話です。とくにSNSのアカウントを会社の人に知られている場合は注意が必要です。
SNSで副業関連の投稿をしたり、直接的な内容でなくても、一緒に映ってしまった書類や背景などの写真から副業がバレてしまうこともあります。
副業関連の投稿をしたい場合は、会社の人にバレないようにアカウントを新たに作成したほうが安心です。
住民税の違和感でバレる
会社に収益が発生すると、住民税にも変化が生じます。会社が従業員の給与から各々の住民税を支払っている場合、住民税の金額が変わったことで、副業がバレるかもしれません。
住民税による会社バレを防ぐためには、確定申告の際に「普通徴収」を選びましょう。これによって住民税の納付は会社経由で行われなくなるため、副業で住民税の金額に変化があった際も、会社にバレずに済みます。
二以上事業所勤務届の提出でバレる
副業を法人化すると、会社と副業の両方で働いていることを知らせる「二以上事業所勤務届」を、社会保険事務所に提出しなくてはなりません。
社会保険事務所にこの書類を提出すると、会社に通達が行き、副業がバレる可能性があります。また、提出しないと罰則が課されるため、「提出しないで会社バレを避ける」といった対策を講じることはできません。
二以上事業所勤務届による会社バレを防ぐためには、個人事業主として活動することや会社の就業規則に違反しない形で副業することなども、視野に入れましょう。
公開法人データでバレる
法人は登記情報が公開されます。公開法人データは誰でも検索して閲覧できるため、同僚や上司が法人情報を調べることで、副業がバレる可能性があります。
個人名と異なる法人名にすることで、バレるリスクを低減できますが、代表者名で副業を知られてしまう可能性もあります。
副業の法人化はどうやるの? 会社員が会社を設立する6つの流れ
会社員が会社を設立するには、流れを理解しなければ成りません。
それぞれ、詳しく解説します。
1.会社設立の必要書類を準備をする
まずは、法人化に必要な書類を準備しましょう。
必要な書類には、商号を決める調査書類・認証を受けるための定款・会社の印鑑証明書・登記のための申請書類などが含まれます。
これらは、会社として活動するために必要な書類です。
商号という言葉は聞き馴染みがないかもしれませんが、株式会社の名称のことで会社法や不正競争防止法に注意して設定します。
また、書類用の印鑑は、代表印・銀行印・角印をそれぞれ用意しておくと良いでしょう。
2.定款を作成する
次に、定款を作成する必要があります。
定款とは、会社や法人の基本原則を定めたものです。
会社設立にあたって必ず必要なものですが、副業として会社設立をする場合には、簡易的なもので必要事項を埋めていく方法も可能になります。
定款を作成後は、公証役場にて「定款の認証」を受けましょう。
3.資本金を払い込む
会社設立には、資本金が必要です。
払い込みを完了するためには、設立予定の法人名義の銀行口座を開設する必要があります。
銀行口座を開設後、口座に対して株主が資本金を入金します。
2006年に最低資本金制度が撤廃されて以降は、資本金が1円から設定可能になりましたが、1円だと足りません。
会社設立時の資本金としての目安は、100万円〜1,000万円が理想的でしょう。
4.登記書類を作成・申請する
会社設立に必要な書類は、以下の11種類あります。
- 登記申請書
- 登録免許税分の収入印紙
- 定款
- 発起人の決定書
- 取締役の就任承諾書
- 代表取締役の就任承諾書
- 監査役の就任承諾書
- 取締役の印鑑証明書
- 資本金の払込みを証明する書類
- 印鑑届出書
- 登記すべきことを保存したCD-R
会社設立の際には、これらの書類を作成し法務局に申請する必要があり、申請が完了すると会社の印鑑証明や登記簿を取得できます。
5.銀行口座を開設する
会社の印鑑証明や登記簿を取得できたら、銀行口座開設の申請を行いましょう。
銀行口座の開設には、法人印鑑証明書や登記簿謄本などの書類が必要になります。
銀行によっては追加書類が必要な場合もありますが、大抵は金融取引が可能です。
もし、銀行口座を開設しないと企業活動の幅が制限されるため、少なくとも1つの銀行口座を開設するのがおすすめです。
6.税務署関連の手続きをする
法務局への申請が完了後、税務署関連の届出をしなくてはなりません。
具体的には、開業届・法人設立届・青色申告承認申請書・給与支払事務所等設置届出書・消費税課税事業者等届出書などの書類を提出する必要があります。
税務署への申請を怠れば、企業としての適格性を損なうだけではなく、大きな経済的損失を被る場合もあるので注意しましょう。
副業を法人化する場合の注意点とは?
副業を法人化し、成功させるためには次の点を押さえることが大切です。
それぞれの内容を、確認してみましょう。
起業仲間を探しておく
副業を法人化する際には、信頼できる起業仲間を見つけておくことをおすすめします。
仲間がいることでアイデアの幅を広げられます。事業に関する新しい発想が生まれ、ビジネスチャンスを得る可能性も増やせるでしょう。
また、問題を共有することで解決への効率化や、心理的な負担の軽減が叶います。1人では実現できない事業分野も、チームで取り組めば成功するかもしれません。
ビジネスを成功させるためには、1人で全てをこなすのではなく、チームとして協力することが鍵となります。
税金に関する知識を身に付けておく
法人化すると、個人事業主としてではなく会社として税金を取り扱わなくてはなりません。個人事業主とは違う知識が求められるため、法人事業主に適した税金の知見を深めておきましょう。
例えば、法人税や消費税、住民税や事業税などは、会社の利益や資産、売り上げなどにも影響を与える税です。
法人化によってこれらの税金の取り扱いが複雑になるため、しっかりとした税務知識を持ち、必要に応じて専門家の助けを借りることも考慮しましょう。
必要であれば税理士に相談する
税金の扱いに悩む場合は、税理士に相談することをおすすめします。
税理士は税務に関するプロフェッショナルであり、適切な税務処理や節税対策についてアドバイスを提供してくれます。複雑な税務処理がスムーズに進むことで、安心して事業に集中することができるでしょう。
副業で法人化をしたいならプロに相談!
本記事では、副業で法人化するメリットとデメリットは? 会社設立の流れや4つの成功タイミングについて解説しました。
副業の法人化は、計画的に行わなければ余分に税金を払ってしまう可能性もあります。
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