売上が上がってくると、個人事業主のままでいるのか、法人化したほうが良いのか、悩みますよね。
この記事では、個人事業主と法人では何が違うのか、法人化する必要性とは何なのか、基準は何なのか、そんな悩みや不明点を抱えている方に、その違いについて説明します。
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個人事業主と法人の違いは?
個人事業主には、事業で上げた売り上げに対し所得税が課せられ、会社設立以降は、所得税に代わって法人税が課せられます。
所得税は事業で上げた売り上げに応じて割合が増える累進課税制度を採用しているため、所得が増える分だけ所得税も多くなります。
その一方、法人税は税率がほぼ一定のため、事業規模の拡大や売上増が見込める場合は法人化を選んだ方が良いかもしれません。
個人事業主 | 法人 | |
事業開始までの手続き | 開業届を提出 青色申告を希望する人は「青色申告証人申請書」も提出 | 法人登記 会社設立に必要な書類や会社印の用意が必要 |
事業開始までにかかる費用 | 0円 | 法定費用+資本金 株式会社:約25万円〜 合同会社:約6万円〜 |
事業の廃止 | 届出を出す | 解散登記・公告等が必要 (数万円かかる) |
税金 | 所得税 住民税 消費税 個人事業税 所属税はもうかるほど税率が高く控除が少なくなる | 法人税 法人住民税 法人事業税 地方法人特別税 消費税 など 法人税は所得税よりも税率が穏やかだが、赤字でも法人税がかかる |
経費 | 事業にかかる費用は基本的に計上できる 自分への給与や生命保険料は経費にできない(後述) | 事業にかかる費用の他にも自分の給与や退職金も経費として計上できる 経費に認められる範囲が広く柔軟 |
赤字の繰越 | 3年 (青色申告の場合) | 9年 |
社会的信頼度 | 法人に比べて低い 事業を行う上での支障は特にない | 高い 新規の契約や融資にも有利 |
会計・経理 | 個人の確定申告 | 法人決算書・申告 (税理士が必要なことが多い) |
生命保険 | 所得控除 | 全額経費 |
社会保険 (従業員分含む) | 会社負担分なし (5人未満の場合) | 会社負担分あり |
1、事業開始までのフロー(手順)と費用について
〇事業開始に必要な手続き
【個人事業主】
個人事業主の開業になるための手続きは、基本的には開業届を出すだけで完了します。
必要に応じて提出すべき書類はあります。
毎日の取引を正確に記載し正しい申告をする所得税の青色申告承認申請書。
本人のみで事業をする場合は関係ありませんが、誰かを雇用する場合には、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書などが必要となります。
【法人】
1.会社の内容を決める
- 発起人の決定:会社を設立する際に、資本金の出資、定款作成などの手続きを行う
- 会社名(商号):同一住所に同一の称号がある場合は登記できない
- 印鑑作成:法人専用の法人印の作成
- 資本金の決定:会社が業務を行う上での資金。社会的信用や消費税の課税問題があるので慎重に決めたほうが良い。
- 本店所在地の決定
2.定款の作成
「定款とは、会社を運営していく上でのルール」
ここには次の事項を必ず記載します。
3.資本金の払込
会社設立時の資本金を発起人名義の口座に振り込み。
資本金は1円以上あれば会社を設立できるが、資本金が大きければ大きいほど信用度があがる。
4.登記書類の作成
本店所在地を管轄している法務局にて登記申請を行う。
登記申請には以下の書類が必要
- 登記申請書
- 登録免許税納付用台紙
- 定款
- 印鑑届書
- 資本金の払込を証明する書面
- 代表取締役及び取締役の就任承諾書、及び印鑑証明書
- 監査役の承就任承諾書
5.登記申請後、法務局にて確認手続き
資本金払込後2週間以内に設立する本店所在地を法務局にて登記申請を行う。
税務署などへの届出
6.税務署などへの届け出
税務署へ申請
下記書類が必要
- 法人設立届出書
- 青色申告の承認申請書
- 給与支払い事務所の開設届出書
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
- 都道府県、市町村への申請
- 法人設立届出書
- 年金事務所への申請
- 健康保険、厚生年保険金新規適用届
2、経費について
個人事業主と法人の違いは多々ありますが、経費での取り扱いがもっとも異なる部分と言ってもいいのではないでしょうか。
税金の税率の違いなどもありますが、法人の方が経費の幅が広く、柔軟と言えます。
事業に発生する支出が経費になることは、個人事業者も法人も変わりありません。
両社に違いが出てくるのは以下のようなところです。
〇給与の取り扱い
個人事業主は、儲けが自分の事業所得となり、給与代わりとなります。法人の場合は法人から給与の形でお金を受け取る形となります。この点がもっとも重要な違いです。
個人事業主が配偶者や家族従業員に給与を支払う場合は、支払う金額を税務署に届け出る必要があります。
法人であれば、たとえ代表者の家族であっても、法人のために仕事をしている以上は給与の支払いにあたって税務署の届出は不要となります。
賞与や退職金も経費として計上できるため、かなりの節税になります。
〇生命保険料
また、個人事業主の生命保険料が所得控除として所得税から引かれることはありますが、経費として認められておらず、12万円という上限もあります。
一方、法人が契約者となる生命保険は種類によっては全額経費として計上できます。
個人事業主と法人で異なる点を見てきましたが、経費という面で考えれば、法人に軍配が上がります。
3、信用問題について
個人事業主と法人で税金の他に念頭においておくことは、社会的信用です。
やはり、法人の方が取引上安心感があるということは否めません。
取引先によっては法人でないと取引しないなどといった規定を設けている会社もあるようです。会社組織であればそれなりの基盤をもっているということで判断されているのかもしれません。
法人成りのタイミングは?
最初は個人事業で始めた人も、いずれは法人化することがあります。法人化するタイミングはいつがいいのか。
1.利益額について
法人成りに適したタイミングを考える場合の1つ目のポイントは利益額です。
利益額で判断する理由は、事業から生じる利益が同じでも、個人事業主と法人では利益に対する税負担が変わってくるからです。
2.従業員を増やす、雇う場合
法人の場合、社会保険は会社と社員が半分ずつ負担する形となっているため、従業員が多ければ多いほど社会保険の負担は多くなります。
そのため、個人事業主として雇用し、国民年金保険や国民年金に個人としてもらう方が負担は少ないと言えます。
しかし、社会保険を準備していない場合は、従業員を雇いにくく、個人事業主で従業員を持っている場合は一定の業種に限られる場合が多いようです。
また、社会保険は、国民健康保険や国民年金よりも保証が手厚くなってます。
3.税金について
個人事業主の場合は、所得に対して所得税が5%~45%かかります。
一方、法人の場合は法人税が23.2%となり、これに地方税をプラスすると約36%となります。
税率だけを考えた場合、所得が900万円を超える予想が立った場合、法人するタイミングと言えます。
上記は目安でもあり、税金の計算は複雑なため、判断が難しいと言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
節税や、信用度アップなど、メリットの多い法人化ではありますが、手続きにも時間と手間がかかります。
一概にどちらが良いとは断言できませんが、メリットデメリットを踏まえたうえで、ご自身の事業での将来を見据えて適切な形をとっていただきたいと思います。
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